灰本クリニック

伝統的な日本食は総死亡を減らす

投稿日時:2020年09月09日

 当院は糖尿病の食事療法として「ゆるやかな糖質制限食」を推奨していますが、糖質制限を行うと、どうしても洋食になりがちで日本食の伝統的なおかず(例:魚の煮つけ、ひじきの煮物、漬物など)が減ってしまいます。今回は日本食とその食材が総死亡や心臓疾患死を減らすという論文が発表されたので紹介します。

 この研究では9万人の食事を解析し、約19年間追跡しました。日本食に特徴的な8つの項目(米、味噌汁、海藻、漬物、緑黄色野菜、魚、緑茶の摂取量が多い、牛肉と豚肉の摂取量が少ない)に注目し、日本食指数(=JDS8)を計算し、点数順に4つの群に分けて比較しました。この点数が高いほど伝統的な日本の食材が多いということになります。結果は、日本食指数が最も高い群と低い群を比較すると、高い群で総死亡が14%、心臓疾患死が11%下がることが分かりました(上の図)。残念ながら癌死は減っていませんでした。また、8つの項目を個別に解析すると、海藻,漬物,緑黄色野菜,魚,緑茶が多い群は総死亡率が下がることも分かりました(下の図)。我々は伝統的な日本食を見直す必要があります。糖質制限食を行うときもこれらの成分が減らない工夫を行うべきで、当院の管理栄養士たちは日々試行錯誤しています。(文責:灰本耕基)


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出典論文:Association between adherence to the Japanese diet and all-cause and cause-specific mortality: the Japan Public Health Center-based Prospective Study
日本食の順守と全原因および原因別死亡率との関連:日本公衆衛生センターに基づく前向き研究
Sanae Matsuyama, et all.
Eur J Nutr. 2020 Jul 16. doi: 10.1007/s00394-020-02330-0.


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