灰本クリニック

「痛み止めの副作用防止のはずが、かえって出血悪化!?」

投稿日時:2025年03月11日

「痛み止めの副作用防止のはずが、かえって出血悪化!?」

   どなたでも歯が痛い、頭痛がする、肩や腰が痛くてなど原因は様々ですが、病院にかかると痛み止めを処方されることがほとんどです。しかし、この痛み止めには胃潰瘍や消化管出血防止の副作用があるので強力に胃酸の分泌を抑えるPPI(プロトンポンプインヒビター)と言われる胃薬がセットで処方されることがあります。一見、理にかなったように見える対策ですが、下部消化管(小腸、大腸)からの出血が増えるといった研究が出てきました。
   2023年に発表された研究では34万人の対象者で痛み止め単独使用者に対し、痛み止めとPPIの併用者で下部消化管出血の危険度が6.5倍になりました。それを受けさらに詳しく検討した研究が2025年に発表されました。痛み止め単独の57264名に対し痛み止めとPPIの併用24530名で比べると結果は下部消化管出血の危険度が2.8倍に増えるというものでした。
   胃酸分泌を止めすぎて腸内細菌に悪影響が出た結果、下部消化管での出血につながるのではと想像されます。ファモチジンや胃粘膜保護薬の併用では下部消化管からの出血はないのですが、無駄な胃薬は控えましょう。(薬剤師 松岡武徳)


(出典)
Impact of proton pump inhibitors on the risk of small bowel or colorectal bleeding: A systematic review and meta-analysis.(プロトンポンプ阻害薬が小腸または大腸出血のリスクに及ぼす影響: 系統的レビューとメタ解析)
Yoon Suk Jung , et al. United European Gastroenterol Journal  
2023 Nov;11(9):861-873. doi: 10.1002/ueg2.12448. 

Risk of Lower Gastrointestinal Bleeding in Nonsteroidal Anti-inflammatory Drug (NSAID) and Proton Pump Inhibitor Users Compared with NSAID-Only Users: A Common Data Model Analysis.(非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)およびプロトンポンプ阻害薬使用者における下部消化管出血のリスクは、NSAID単独使用者と比較した: 共通データモデルによる解析)
Moonhyung Lee , et al.  Gut Liver 2025 Jan 3. doi: 10.5009/gnl240247.
 


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