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1.発想の原点
炭水化物(米、パン、麺類、バナナ、芋類、トウモロコシなど)をほとんど食べずに高カロリーのアザラシの肉と脂肪を主食とするエスキモー(イヌイット)には糖尿病(16000人に3人程度、日本人は100人に5人)、高コレステロール血症や肥満はきわめてまれです。その結果、脳梗塞や心筋梗塞もまれです。また、タンパク質や脂肪を食べても人の血糖値はほとんど上昇せず、炭水化物を食べると上昇することは以前から生化学的研究で明らかでした。
さらに2000年前の農耕が始まるまで炭水化物を入手できなかった人類は、400万年の歴史のうちほとんど炭水化物を食べずに生きてきたのです。これらの事実は、炭水化物を食べることが糖尿病や肥満の原因であることを感じさせます。
2.低炭水化物食(糖質制限食)はカロリー制限よりずっと簡単
炭水化物を含む食品を夜だけ(または朝と夜)抜く、そしてそれ以外のタンパク質や脂肪はいくら食べても構わない、という単純な食事療法で体重やHbA1cと言う血液の値が驚くほど下がります。そのおかげで、当院の糖尿病患者さんの内服薬は3年間で1/5へ減りました。また、この食事療法ではダイエット効果も抜群なので、高血圧患者さんにも実施すれば体重も減り、血圧も下がります。右図は2年間の糖尿病患者さん(133人)の変化で、図の左は従来のカロリー制限食、右が低炭水化物食
(糖質制限食)
です。
3.血清の中性脂肪やコレステロールも下がる
皆さんは脂肪をたくさん食べても大丈夫かと疑問に思うでしょうが、エスキモー(イヌイット)で証明されているように、当院で炭水化物制限食(糖質制限食)を実施した患者さんたち3年間の経過観察では、血清の中性脂肪は劇的に減少、善玉(HDL)コレステロールは上昇、悪玉(LDL)コレステロール減少しました。したがって、メタボリック症候群のほとんどが解決します。低炭水化物食(糖質制限食)の方が従来のカロリー制限食に比べて血中の中性脂肪やLDLコレステロールを下げることはアメリカの臨床栄養学分野ではほぼ確立しています。
4.京都と春日井で始まった
この画期的な治療法は2002年に京都の高雄病院で生まれ、2003年から当院でも始まりました。最近アメリカの専門誌でダイエットについても低炭水化物食
(糖質制限食)
の方が従来のカロリー制限食より優れていることが確立しましたが、日本ではまだほとんど知られていません。この食事療法は従来の糖尿病食事療法と比べて、体重も減量でき、血糖、ヘモグロビンA1cなどは明らかに改善するので、糖尿病の薬を減らしたり、中止することもできます。
5.医師や管理栄養士と一緒に始めよう
低炭水化物食
(糖質制限食)
ではカロリー制限は全くないので簡単にできますし(タンパク質と脂肪はいくら食べてもよい)、1週間後から血糖が下がり始め、1ヵ月後にはダイエット効果が明らかになります。糖尿病や肥満で悩んでいる患者さんたちには画期的な治療法です。一人で始めるのは血糖が下がりすぎたり、食べる食品を間違えたりしてうまくいきませんから、是非来院して、医師の管理の下で管理栄養士や看護師と一緒に治療しましょう。