半日~数日以内に急激に胃痛(みぞおちの痛み)や嘔気が出た場合、ウイルス性の腸炎(急性胃腸炎)が最も可能性が高く、次いで急性虫垂炎(もうちょうえん)の初期症状、胆のう結石症、急性膵炎などが続きます。
これらの病気は腹部エコーやCTで診断できます。稀ですが怖い病気に血糖が1000 mg/dlまで上がる劇症1型糖尿病がありますので、当院では嘔気があれば必ず尿検査を行っています。運動時にみぞおちの痛みが悪化する場合、狭心症や心筋梗塞のこともあります。
心臓の病気
嘔気や嘔吐で食事や水分が全く取れない、痛みで眠られない、歩くとお腹に響くのでかがんで歩いている、などの症状があれば緊急性があるのですぐに受診して下さい。
数週間以上続く場合、2010年頃までは胃潰瘍,十二指腸潰瘍が多かったのですが、ピロリ菌の感染率の低下とともに激減しました。体重減少を伴えば各種の癌(胃癌や膵臓癌,胆のう癌,胆管癌など)、うつ病の胃症状、下垂体機能低下症のこともあります。
一方で、毎年冬場に突然気温が下がり寒くなると、胃腸風邪が流行ります。胃腸風邪の症状には嘔吐や吐き気、下痢、微熱(37℃前後)、胃痛などの腹痛、お腹が張った感じなどがあります。このような症状が長引いたり、いったんよくなっても食べたり飲んだりすると症状が悪化する患者さんが多くみられます。これは、胃腸の動き(蠕動運動)が弱くなる又は完全に止まってしまうと起こります。