灰本クリニック

禁煙しても10年以上は癌のリスクは消えない

投稿日時:2020年04月20日

 前回は禁煙すると5年以内に心筋梗塞や狭心症のリスクは50%減るが、何年たっても煙草を全く吸ったことがない人とは同等にはならないというお話をしました。では禁煙後の癌のリスクはどうなのでしょうか。この疑問に答える日本の論文を紹介します。

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 2017年に「癌疫学」に掲載されたこの論文では、癌のリスクと禁煙の影響を評価するために日本人32万人以上のデータが解析されました。結果は、男性では禁煙21年以上、女性では禁煙11年以上経過すると癌のリスクは非喫煙者と同じレベルにまで減少することが分かりました。煙草による癌のリスクが消えるまでには非常に長い年月がかかってしまうのです。ただ、1日20本以上吸っているヘビースモーカーでも、年月が経てば癌のリスクは減っていくともこの論文では報告されています。煙草は吸わないのが賢明ですが、もしまだ煙草を吸っているのであれば、その量に関係なく一刻も早く禁煙することをお勧めします。癌になりたくないのであれば。(文責:灰本耕基)


出典:Smoking cessation and subsequent risk of cancer: A pooled analysis of eight population-based cohort studies in Japan.
禁煙とその後の癌のリスク:日本における集団ベースの8つのコホート研究の統合解析
Saito E, Inoue M, Tsugane S, Ito H, Matsuo K, Wakai K, Wada K, Nagata C, Tamakoshi A, Sugawara Y, Tsuji I, Mizoue T, Tanaka K, Sasazuki S
Cancer Epidemiol. 2017 Dec;51:98-108.


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