灰本クリニック

高齢者でも130程度までは血圧を下げた方が長生きできる

投稿日時:2020年04月20日

 日本の高血圧ガイドラインが2019年に改定され、家庭血圧の目標値が75歳未満では125/ mmHg未満、75歳以上では135 /mmHg未満となり、2014年のガイドラインから10ずつ厳しくなりました。これは2017年にアメリカの高血圧ガイドラインが厳しくなったことに日本が追随した形になり、日本国内でも厳しすぎるとの批判があります。特に高齢者では血圧が下がり過ぎる(上の血圧が110台)とふらついて転倒が増えてしまうため、どこまで血圧を下げるかは議論があります。

 2018年に「英国医師会誌」に掲載された中国の論文では、平均92.1歳の超高齢者を約4600人集めて3年間追跡し、血圧がどの程度の人が長生きしたかを解析しました。すると収縮期血圧(上の血圧)が129 mmHgだった人が最も死亡リスクが低く、グラフにすると下の図のように129を底としたU字カーブとなりました。当院では高齢者の血圧の下げ過ぎるのはよくないと考え、以前は上の血圧の目標値を140-145 /mmHgとしていました。しかし、これら最近の論文の結果を踏まえ、高齢者の方でも家庭血圧の上の血圧の目標値は130前後に強化しています。世界中で高齢化が進んでおり、今後は高齢者の至適血圧がどの程度なのかデータがどんどん出てくるでしょう。(文責:灰本耕基)

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(出典の論文より抜粋して日本語化)


出典:Revisiting the association of blood pressure with mortality in oldest old people in China: community based, longitudinal prospective study
中国における最高齢者の血圧と死亡率との関連性の再検討:コミュニティベースの縦断的前向き研究
Lv YB, Gao X, Yin ZX, Chen HS, Luo JS, Brasher MS, Kraus VB, Li TT, Zeng Y, Shi XM.

BMJ. 2018 Jun 5;361:k2158. doi: 10.1136/bmj.k2158.


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