投稿日時:2025年03月14日
従来の塩分摂取量が増えると死亡リスク(あらゆる疾患による死亡)が増えるかどうかの研究は日本人だけ、イギリス人だけの食文化は単一でしたし、塩分摂取量の調査も精度が低い方法を使っていました。
ところが、2019年に史上最強の研究調査が発表になりました。世界中の多様な食文化の人たちを17カ国(貧しい国、豊かな国、砂漠、湿潤地帯、高原、平地、北極圏、赤道直下など)から10万人集めて10年追跡し、10年後に死んだか生きているかを検討しました。日本には塩分3gや25g食べている人はいませんが、この研究では一日3gのアフリカから22gの中国北部やカスピ海周辺国も含んでいます。
その結果に驚きます。もっとも死亡リスクが少なかったのは(つまり長生き)、日本、中国南、韓国などの東アジアの人たちで、塩分が少ない欧米やアフリカでは急激に死亡リスクが上がっていきます(つまり短命)。
この研究者たちは「従来の塩分が悪い、塩分制限をせよという間違った常識や栄養ガイドラインを書き換えよ」と結んでいます。ちなみに、塩分をたくさんとっている日本が一番世界で長生きなので、灰本クリニックでは塩分をまったく制限していません。
Joint association of urinary sodium and potassium excretion with cardiovascular events and mortality: prospective cohort study
Martin O’Donnell et al., BMJ 2019; 364: l772