灰本クリニック

禁煙して何年たっても狭心症や心筋梗塞のリスクは残る

投稿日時:2020年04月20日

 禁煙すると5年以内にその影響はなくなる…という話を聞いたことはないでしょうか。実はそうでもありません。2019年に「米国医師会誌」に掲載された論文には、禁煙した人と喫煙を続けている人とを比べると、禁煙した人では狭心症や心筋梗塞のリスクは5年以内に50%程度減少するが、残念ながら全く煙草を吸ったことがない人と同等のリスクにはならないと報告されました。


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(出典論文より抜粋して日本語化)

 我々の経験でも、男性の糖尿病や高コレステロール血症の患者さんを中心に、禁煙してから数年後~10数年後に狭心症や心筋梗塞を発症する方が少なからずいらっしゃいます。心筋梗塞は死亡率5%の怖い病気ですので、当院では禁煙後でも糖尿病や高コレステロール血症があると心筋梗塞のリスクが高いと考え、エコーで首の血管の動脈硬化の評価を行い、動脈硬化を予防するスタチンという薬を飲むかどうかを相談しています。スタチンの効果はほぼ確実で薬価は安く、10年飲んでも7~14万円(本人負担は3割で2~5万円)しかかかりません。禁煙するのは大事なことですが、禁煙できた人も油断せずにコレステロールの管理を行うべきです。(文責:灰本耕基)

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出典:Association of Smoking Cessation With Subsequent Risk of Cardiovascular Disease
禁煙とその後の心血管疾患リスクとの関連
Duncan MS, Freiberg MS, Greevy RA Jr, Kundu S, Vasan RS, Tindle HA.
JAMA. 2019 Aug 20;322(7):642-650.


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