灰本クリニック

真の適正飲酒量とは?

投稿日時:2021年01月06日

 「酒は百薬の長」ということわざがありますが、どの程度までなら適正飲酒と言えるのでしょうか。これまでの日本人の論文では、全くお酒を飲まない人よりも、少しでなくかなり飲む人の方が長生きという結論になっていました。しかし、これらの論文では最初の調査した時点の飲酒量が20年間変わらないとの仮定の上で成り立っています。20年間飲酒量が変わらないということは一般的にはまれで、出てきた結論が正確ではないという批判が絶えずありました。

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 今回紹介する論文では今までの研究の弱点をできるだけ補正して解析を行っています。ヨーロッパの約60万人の飲酒量の調査を数年おきに行い、飲酒量の変化も考慮して長生きかどうか(死亡率が低いか)を調べました。飲酒量がアルコール換算で1週間に0-100 gまでは死亡率は上がりませんが,150 gぐらいから急激に死亡率が上昇する下のような図になりました。病気別に見ると心筋梗塞死は飲酒で減るのですが、脳卒中死、心不全死が増えるため週150 g以上になると相殺しきれなくなり、死亡率がだんだん上がっていくのです。この論文では、真の適正飲酒は1週間に100 g程度まで、たくさん飲みたくてもせいぜい150 g程度までにすべきと結論付けています。この1週間にアルコール150 gという量は、1日換算でビール500 ml、日本酒1合(180 ml)、ワイングラス2杯弱(200 ml)、焼酎0.5合(100 ml)、ウィスキーダブル1杯(60 ml)までとなります。飲んべえにはつらい量ですが、実際はこのぐらいと覚えておきましょう。

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出典:Risk thresholds for alcohol consumption: combined analysis of individual-participant data for 599 912 current drinkers in 83 prospective studies
アルコール消費のリスク閾値:83の前向き研究の599912人の現在の飲酒者の個人参加者データの複合分析

Lancet. 2018 Apr 14;391(10129):1513-1523. doi: 10.1016/S0140-6736(18)30134-X.
Angela M Wood, et al.


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