投稿日時:2020年04月09日
今回はアルコールと心房細動の関係を調べた論文のデータをご紹介します。
心房細動と診断された飲酒者について、1日当たり缶ビール(350ml)を2本飲む人が週2本に減らしたアルコールを減らすグループ(断酒グループ)と、そのままアルコールを飲むグループ(飲酒グループ)に分けて心房細動が再発するかどうかを6か月観察した。
心房細動の再発は断酒グループで53%に対し、飲酒グループでは73%で起こった(図1)。また断酒グループの方が心房細動の再発までの期間が飲酒グループより長かった。さらに1日の中で心房細動を起こしている時間の割合は断酒グループの方が少なかった。
適量のアルコールは健康にもよい報告は多いが、心房細動を持つ飲酒者はアルコールを減らすと心房細動の再発が減るようです。
*1:心房細動とは、心房と言われる心臓の上の部屋が小刻みに震え、十分に機能しなくなる不整脈の1つです。心房細動は放置しておくと血液が固まりそれが脳に詰まる「脳梗塞」を招くことがあり注意が必要です。
出典:Alcohol Abstinence in Drinkers with Atrial Fibrillation.(心房細動を有する飲酒者の断酒)
Aleksandr Voskoboinik, Jonathan M. Kalman, Anurika De Silva et al.
N Engl J Med. 2020 Jan 2;382(1):20-28
薬剤師 松岡武徳