灰本クリニック

「抗生剤を繰り返し飲むと糖尿病になりやすい」

投稿日時:2015年10月09日

今回は皆さんに抗生剤を何度も飲むことの危険についてお話したいと思います。

 皆さんが風邪、肺炎、膀胱炎などにかかり耳鼻科、小児科、内科を受診した際に抗生剤を処方されることがあります。抗生剤は長く飲むことはありませんが、かかるたびに数日間処方する医師は日本では少なくありません。特に耳鼻科の先生方は抗生剤が好きです。ところが、「飲むたびに糖尿病になりやすくなる」というびっくりする論文が発表されました。

 デンマークで2000年から2012年の12年間に約70万人を追跡した研究によると、抗生剤の処方回数が12年間に1回未満の人と5回以上の人では糖尿病の発症率が1.5倍も違うことがわかりました。25回以上、つまり年に2回抗生剤を飲むと、その後の糖尿病の発症しやすさは2倍にもなります。処方回数が多ければ多いほど、糖尿病のリスクが上がっていくこともわかりました。腸内細菌はメタボリック症候群の発症に深く関係していることが分かっていますが、抗生剤はその腸内細菌を撹乱するのです。

 抗生剤が一番よく処方されるのは咳、鼻水、のどの痛みなど風邪の症状やそれに発熱症状が加わった時ですが、発熱のある風邪症状に抗生剤が効く可能性はたったの5%です。ましてや発熱がない風邪にはほとんど効きません。風邪の95%はウイルス性なので抗生剤は効かず、抗生剤を飲まなくても3-4日後には自然に解熱するものなのです。効くかどうかもわからない薬を飲むたびに糖尿病になりやすくなってしまうことがないように、皆さんには正しい知識を持って病院に通院して頂けたらなと思うような論文でした。(医師 灰本 元、灰本クリニック 管理栄養士 渡邉志帆)


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