灰本クリニック

人工甘味飲料は糖尿病に使えない

投稿日時:2017年08月24日

閉経後女性における人工甘味飲料、砂糖飲料、水と糖尿病発症

Huang H. et al, Am J Clin Nutr August 2017 vol. 106 no. 2 614-622

研究内容:

 砂糖飲料が糖尿病発症に関係することは明らかであるが、人工甘味料との関係は明らかではなかった。そこで、1993年から1998年まで閉経後女性を対象に、以下の目的で観察研究をおこなった。砂糖飲料と人工甘味飲料の消費量と2型糖尿病発症との関係および砂糖飲料を人工甘味飲料や水で置き換えることで2型糖尿病の発症は減少するか。

結果:

  1. 64850人の女性を平均8.4年間追跡した結果4675人(7%)に糖尿病が発症。
    人工甘味飲料では21%、砂糖飲料では43%、同量の水に比べ糖尿病を発症する危険性が上昇した。
  2. 人工甘味飲料に関係した糖尿病発症は肥満の患者だけにみられた。
  3. 砂糖飲料を同量の人工甘味飲料に置き換える解析をすると糖尿病発症が減らなかった。
  4. 糖尿病発症は、1回の人工甘味飲料を同量の水に置き換えると5%減少し、1回の砂糖飲料を同じ量の水に置き換えると10%減少した。

 この研究では統計的に砂糖飲料を人工甘味飲料に置き換えても糖尿病発症リスクは減らないと結論付けている。これ以外の二つの研究では人工甘味飲料は砂糖飲料よりも糖尿病発症率が高いという結果と、肥満などの別の要因を持った場合に糖尿病発症率が高くなるという結果となっており、いずれにせよ人工甘味料は糖尿病には使えない。わたしたち食事療法を指導する立場からみると、砂糖飲料は健康によくないと患者さんは理解しているので量のコントロールを指導しやすい。それに対して人口甘味飲料は患者さんがいくら飲んでも血糖が上がらないと信じているので量のコントロールが困難となっている。
 さらに重要な問題は人工甘味料が腸内細菌を撹乱する点である。その撹乱は耐糖能異常や糖尿病発症という結果だけでは済まない可能性が高い。肥満、動脈硬化、アレルギー、自閉症、多発性硬化症、肝疾患など腸内細菌の撹乱は多方面の疾患を発症することがわかりつつある。サッカリンの失敗を繰り返さないために人工甘味飲料および人工甘味料の食品を自粛すべきである。                          
(医師 灰本 元)


  • 消化器内科
  • 循環器内科
  • 糖尿病内科
  • 呼吸器内科

灰本クリニック

〒486-0838
愛知県春日井市弥生町1丁目80番

(0568)85-0567

受付時間

休診日日曜・祝日/第2土曜/水・土午後

受診のご案内