コーヒーについて、1日3杯程度のコーヒーの摂取は健康のために良いと報告されています。しかし、日本循環器学会/日本不整脈心電学会合同ガイドラインには、コーヒーなどのカフェインを含む飲み物は不整脈を誘発するリスクがあると書かれています。ところが、根拠となる研究は引用されていないので科学的根拠はありません。では実際コーヒーと不整脈との関係がどうか研究を調べてみました。

　今回の研究では、合計386,258名の一般住民を平均4.5年追跡し、不整脈の発症リスクとコーヒーやカフェイン含有飲料の摂取との関係を比較検討しています。その結果、習慣的なコーヒー摂取は1杯あたり３％不整脈のリスクを低下させていました。
さらに、不整脈を持つ患者さん103人に、目隠しをしてカフェイン入りのコーヒーを飲むグループと、カフェイン抜きのコーヒーを飲むグループに分けて不整脈の起こりやすさを比べると、心拍数に対する有害な影響はなかったことが確認されました。
これらの研究結果から、コーヒーのカフェインにより不整脈が誘発されることはなさそうです。
（薬剤師　松岡武徳）

出典：Coffee Consumption and Incident Tachyarrhythmias: Reported Behavior, Mendelian Randomization, and Their Interactions
Eun-Jeong Kim et al. 　 JAMA Intern Med. 2021 Sep 1;181(9):1185-1193. 
doi: 10.1001/jamainternmed.2021.3616.
Randomized control trial investigating the influence of coffee on heart rate variability in patients with ST-segment elevation myocardial infarction
T Richardson et al.  QJM. 2009 Aug;102(8):555-61. 　doi: 10.1093/qjmed/hcp072.