投稿日時:2020年09月02日
LDLコレステロールの管理は心筋梗塞を予防するために非常に重要ですが、糖尿病のない人と比べて糖尿病患者では心筋梗塞を発症する危険性が高くなるため更に厳格に管理する必要があります。現在、糖尿病のない人の場合LDLコレステロールの目標値は140mg/dL未満とされています。では糖尿病患者ではどこまで下げるべきなのでしょうか?
日本人の糖尿病かつ高コレステロール血症患者5000人のうち、半分の2500人はLDLコレステロールを70mg/dL未満まで厳しく下げ、もう半分の2500人を標準治療である100-120mg/dLに管理しおよそ3年間経過を観察した研究があります。両者で心筋梗塞の発症率に違いがあったのでしょうか。結果はLDLコレステロールを厳しく下げても標準的な治療と差がありませんでした。
欧米ではLDLコレステロールは下げれば下げるほど良いとされていますが、日本人には当てはまらないようです。したがって今のところ日本人の糖尿病患者ではLDLコレステロールは120mg/dLまで下げておくのが良いしょう。ただし喫煙者(喫煙歴のある人も含む)や過去に心筋梗塞を起こしている方はLDLコレステロールをより厳しく下げる必要があります。受診時に医師に確認しておくと良いでしょう。
(薬剤師 北澤雄一)
出典:『Intensive Treat-to-Target Statin Therapy in High-Risk Japanese Patients With Hypercholesterolemia and Diabetic Retinopathy: Report of a Randomized Study』
Hiroshi Itoh et al. Diabetes Care 2018;41:1275–1284