投稿日時:2024年08月30日
『血圧を下げると認知症が予防できる』
高血圧と認知症との関連性について2011年に発表された福岡県の久山町の住民追跡調査の結果によると、血圧が高くなればなるほど認知症を発症する危険性が高まります。では、血圧を下げれば認知症の発症を防ぐことができるのでしょうか。
2022年に認知症予防に対する降圧療法の効果を調査した5つの無作為化試験をひとつに統合して解析した結果が発表されています。世界20ヶ国、28,008名(平均年齢69歳)の人々を平均4.3年間追跡すると、上の血圧を10mmHg、下の血圧を4mmHg下げることによって認知症の発症が13%抑えられていることが明らかになっています。ただし、この研究では血圧値が150~160mmHgの人々を対象としており、降圧薬で120mmHg台にコントロールされている人々に対する効果、つまり血圧を下げれば下げるほど認知症を予防できるかどうかについては分かっていません。
少なくとも中年期を過ぎても高血圧を放置してしまっている方は、脳卒中や心筋梗塞、心不全の予防のみならず、認知症を予防するために今すぐ高血圧治療を始めることをお勧めします。(薬剤師 北澤雄一)
『Blood pressure lowering and prevention of dementia: an individual patient data meta-analysis』
Ruth Peters et al. European Heart Journal (2022) 43, 4980–4990