投稿日時:2017年12月27日
およそ1年半前に「強い胃薬にはご注意を」という題名で強い胃薬の影響について記事を書きました。それから1年半で更にPPI(タケキャブ、ネキシウム、パリエット、オメプラール、タケプロンなど)といわれる薬を長期間飲むことの危険性を示す論文が出てきたので3つの論文を紹介したいと思います。
死亡率について。PPIを飲むことで死亡の危険性が1.25倍。さらにPPIを飲む期間が長くなると死亡の危険性が上昇し、1か月未満しか飲んでいない人に対して1年以上の飲む人で死亡の危険性が1.5倍。
1)認知症発症について。認知症でない75歳以上の患者で、認知症になる危険性がPPIを飲んでいる人で1.44倍。
2)ピロリ菌除菌後で胃がんになる危険性について。ピロリ菌除菌後のPPI服用により胃がん発生の危険性が2.44倍。長期使用で危険性が上昇し1年以上の使用で5.04倍、2年以上で6.65倍、3年以上で8.34倍。
3)前回の記事もかなり衝撃的な内容でしたが、今回は前回をも上回る衝撃的な内容だと思います。本当にPPIが必要な人は、血液サラサラの薬を2種類以上飲んでいる人。胃潰瘍や十二指腸潰瘍のある人などです。しかしながら命を賭けてまで飲む必要があるか、疑問もあります。自分にPPIが必要なのかを再度確認していただき、漫然と服用している場合には知らない間にいろいろなリスクが上昇しているかもしれないので、PPIが必要か医師に確認をしてみてください。ただし、このような論文は英語なので残念ながらほとんどの日本の医師はこの事実を知らないのが現状です。
引用文献
1)Risk of death among users of Proton Pump Inhibitors: a longitudinal observational cohort study of United States veterans.
Yan Xie et al. BMJ Open. 2017 Jul 4;7(6):e015735
2)Association of Proton Pump Inhibitors With Risk of Dementia: A Pharmacoepidemiological Claims Data Analysis.
Willy Gomm et al. JAMA Neurol. 2016 Apr;73(4):410-6
3)Long-term proton pump inhibitors and risk of gastric cancer development after treatment for Helicobacter pylori: a population-based study.
Ka Shing Cheung et al. Gut. 2018 Jan;67(1):28-35