投稿日時:2020年07月31日
ビタミンDは魚介類やきのこ類などに多く含まれ、カルシウムの吸収を助けて骨を強く保つ効果があるため人体にとって必要な栄養素です。厚生労働省が示す日本人の食事摂取基準(2015年度版)によるとビタミンDの食事摂取基準は成人で男女共に5.5µg/日であり国際単位(IU)に換算すると220µg/日(5µg=200IU)とされています。皆さんの中にもビタミンDのサプリメントを服用している方、これから服用しようと思っている方がいるかも知れません。ではそれが骨折の予防や骨密度に対してどのくらい効果があるのでしょう。
ビタミンDが骨折の予防や骨密度の改善に対してどのくらい効果があるかを評価した81件もの研究を集めて全体で約54000人を総合的に解析した結果が2018年に発表されました。するとどうでしょう、ビタミンDは骨折を減らすことも骨密度を改善することもないことが明らかにされたのです。またその結果はビタミンDを800µg/日以上と多量に摂取した場合でも変わりありませんでした。つまり骨を強くすることをビタミンDのみに頼ることはできないということです。ビタミンDのサプリメントより日頃から適度に日光を浴びることやカルシウムを多く含む食品を日ごろから適度に摂取すること、そしてウォーキングなどの運動を行うことの方が重要だと言えるでしょう。
(薬剤師 北澤雄一)
出典:『Effects of vitamin D supplementation on musculoskeletal health: a systematic review, meta-analysis, and trial sequential analysis』
Mark J Bolland et al. Lancet Diabetes Endocrinol 2018