灰本クリニック

新型コロナワクチンの正しい情報(第2回:世界からの報告)

投稿日時:2021年08月21日

 世界各国でワクチン接種が進んでおり、ワクチンの効果に関係する報告も日々増えています。今回、世界で最もワクチン接種が進んでいるイスラエル650万人の調査とアメリカの妊婦さんへの安全性の報告を紹介します。

1. イスラエル650万人の調査
 イスラエルではファイザー製のワクチンを全人口7割に相当する650万人に接種しており、前回の実験的な報告(2万人に偽ワクチン、2万人に本物ワクチン)とは違って、実社会に即した調査報告となっています。
 2021年5月に発表されたワクチン接種率と新型コロナ感染数(赤線)を図1に示します。高齢者(65歳以上)でも中年層(45-64歳)でも1回接種(水色の部分)では新規感染は30~40%しか減りませんが(黄色の矢印)、2回接種(紺色の部分)が始まったあたりから急激に減り(ピンクの矢印)、2回接種後1週間経過すれば、新型コロナ発症感染を97%予防できました。これはワクチンを打たないと100人感染するところを、ワクチンを打つことで3人しか感染しなくなるという意味です。
 日本とイスラエルのワクチン接種はほぼ同じ状況で行われており、実社会でも極めて有効なことを示しています。それに1回接種では不十分で2回接種することが重要なことがよく理解できます。

<図1 ファイザー製のワクチンを接種したイスラエルの新規感染者数>
Eric J Haas, et al. Lancet. 2021 May 15;397(10287):1819-1829.より
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2. 妊娠中のワクチン接種について
 妊婦さんへのワクチン接種も安全であることが分かってきました。2021年6月のアメリカからの報告では約4000人の妊娠中のワクチン接種を解析し、母体や胎児への悪影響(流産や先天奇形など)を一般の発症確率と比較しています。そして色々な悪影響は一般の妊娠と比較して増えなかったと報告しています。
 妊娠中に新型コロナ肺炎に感染すれば胎児を低酸素の危険にさらすことになり、妊婦さんも積極的にワクチンを接種すべきです。産科医と接種時期を相談してください。(文責:灰本耕基)

<表1 妊娠中のワクチン接種の悪影響>
Tom T Shimabukuro, et al. N Engl J Med. 2021 Jun 17;384(24):2273-2282.より
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出典①:Impact and effectiveness of mRNA BNT162b2 vaccine against SARS-CoV-2 infections and COVID-19 cases, hospitalisations, and deaths following a nationwide vaccination campaign in Israel: an observational study using national surveillance data
(イスラエルでの全国的なワクチン接種キャンペーン後のSARS-CoV-2感染およびCOVID-19の症例,入院および死亡に対するmRNA BNT162b2ワクチンの影響と有効性:全国監視データを使用した観察研究)
Eric J Haas, et al. Lancet. 2021 May 15;397(10287):1819-1829. doi: 10.1016/S0140-6736(21)00947-8.

出典②:Preliminary Findings of mRNA Covid-19 Vaccine Safety in Pregnant Persons
(妊娠中の人におけるmRNACovid-19ワクチンの安全性の予備的発見)
Tom T Shimabukuro, et al. N Engl J Med. 2021 Jun 17;384(24):2273-2282. doi: 10.1056/NEJMoa2104983.


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