灰本クリニック

冬場の胃腸風邪について

 毎年冬場に突然気温が下がり寒くなると、胃腸風邪が流行ります。胃腸風邪の症状には嘔吐や吐き気、下痢、微熱(37℃前後)、腹痛、お腹が張った感じなどがあります。このような症状が長引いたり、いったんよくなっても食べたり飲んだりすると症状が悪化する患者さんが多くみられます。

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胃腸風邪の患者さんのお腹のレントゲンを撮ると、胃が胃液でいっぱいだったり、小腸や大腸に異常なガス像(かまぼこ状のガス)が出ており、胃腸の動きが麻痺して止まっている(麻痺性の腸閉塞)患者さんが多く見られます。動きが止まった胃や小腸のなかには、胃液や腸液が充満し、わずかな空間が残っているだけですから、少し飲むだけで吐いてしまいます。こういった状態はお腹のレントゲン写真を撮らなければ分かりません。このような状態では、絶食だけでなく絶飲として、口が渇けば氷をなめる程度がおすすめです。

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 上の写真は、お腹のレントゲン写真です。小さなかまぼこ状の腸内ガスが腸閉塞の特徴です。胃の中は未消化な内容物と胃液でほぼいっぱいで、わずかな空間(黒い部分→)があるだけですから、少し飲むだけで吐いてしまいます。
 聴診をしても、胃や腸が動く(ぜん動運動)音がほとんど聞こえません。このような状態で無理に水分を補給したり栄養をつけようとして食べたり飲んだりすると逆効果になるので、注意してください。 
 冬の胃腸風邪(ノロウィルス)には漢方薬が効きます。胃腸に溜まった液体を尿に出す作用がある五苓散、それに止まってしまった胃腸の動きを再開させて、溜まった泥状の胃腸液や便を排出させる調胃承気湯が有効です。
 
  吐き気、おう吐、下痢の時の注意点!

1.24時間くらい絶食・絶飲とし、口が渇いたら氷をなめる。だるさが長引けば点滴治療。

2.お腹がグーグーと鳴って食べたい感じになれば(頭と口に相談せず、お腹の声を感じる)、水分摂取から開始する。お茶、さらさらの重湯、コンソメスープ、野菜スープなど(塩分は必要、甘みは不要)。固形物はおもゆから始め、三分粥→五分粥→全粥→普通食へゆっくり戻す。

3.吐き気が強いときは、大量のショウガ(大きめのしょうがを100ccのお湯に溶かして、小さじで少しずつ飲む)が有効。 

4.乳製品(牛乳、ヨーグルト)、冷たいもの、果物、甘すぎる飲み物(スポーツドリンク)などはダメ。 うどんなどの麺類もダメ。

冬の胃腸風邪に関する当院の調査結果
 胃腸風邪に関しては、2007年~2008年の冬に当院で胃腸風邪症状で来院した患者さんを調査 {JIM 18巻12号(2008.12)P.1052-1055(ISID:1414101587)「2007年12月から2008年1月に経験した成人の流行性胃腸炎の臨床像」に投稿}では、激しい下痢と嘔吐を伴う一般的に言う胃腸風邪は、急に朝の気温が下がり始めたころに患者さんが増えています。特に昼と夜の寒暖差が激しい時の暴飲暴食は注意しましょう。年末年始は忘年会やお正月、新年会など外食の機会が増えますので注意が必要です。また、外出から帰宅後の手洗い、うがいはしっかりとするよう心がけましょう。

●当院の臨床データが医学雑誌(JIM)に掲載 

●当院文献の概要


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