【患者背景】70代女性
【発見の経緯】過去に大腸ポリープを切除したことがあり、3年ぶりに大腸カメラを行いました。上行結腸に長径12 mmの白色の平坦な腫瘍(緑矢印)を認め、内視鏡切除(EMR)を行いました。
【カメラ写真】写真でも分かりにくいのですが、海底に隠れるヒラメのような平べったい形をしたポリープ(緑矢印の範囲)です。
【顕微鏡写真と解説】
顕微鏡(図1)では規則正しく腺管が並んでおり、拡大(図2)すると、腺管の上部2/3(黄色の両矢印)に①ギザギザのノコギリの歯のような(=鋸歯状)構造が目立ち、②明るいピンクの細胞が多いことをが分かります(図2左)。通常のポリープ(腺腫=図2右)とは異なった構造であり、このような特徴を持つ腫瘍を「無茎性の鋸歯状ポリープ(SSA/P=Sessile Serrated Adenoma/Polyp)」と呼びます。
無茎性の鋸歯状ポリープは癌化はまれとされていますが、右側の大腸(盲腸や上行結腸、横行結腸)に発生する10 mm以上のものは癌化する可能性が低くないので内視鏡切除すべきです。
【今後の方針】今回の病変は癌化しておらず、取りきれていました。今後も数年おきに大腸カメラを行い、新しいポリープができないか経過観察する予定です。