風邪だと思ったら咳だけちっとも良くならず困っていませんか?
風邪だと思ったら咳だけちっとも良くならず困っていませんか?すでに他の医院にかかっても、薬が効いていない患者さんが当院へはたくさん来院しています。長引く咳の原因を多い順に以下に並べました。
<長引く咳の原因>
1.季節の変わり目の寒暖差や乾燥に伴う咳
2.風邪(ウイルス感染)、新型コロナウィルス、マイコプラズマ肺炎、一般の肺炎が治った後に咳だけが続くもの
3.ストレスによる咳(1と2の結果、激しい咳によって仕事に行けない)
4.軽症の喘息(咳喘息)
5.鼻水に伴う咳(蓄膿症やアレルギー性鼻炎)
6.胃液の逆流(逆流性食道炎)による咳
7.肺癌による咳
8.羽毛布団、冷暖房機や加湿器のカビへのアレルギーによる咳(過敏性肺臓炎)
9.結核など
次第に悪化する咳が1~2週間以上続けば、まず胸部レントゲンを撮って重大な病気の除外が必要です。この重大な病気には、肺炎、結核、肺癌や心不全があります。当院では、1~2週間以上続く咳の患者さんには妊娠等止むを得ない理由が無い限り胸部レントゲンを撮影しています。
急性肺炎は毎日外来で抗生剤の点滴、7-9なら入院治療となります。これらは最終的にCTで確定診断を行います。次に階段や早足歩行で咳や呼吸困難が悪化するなら4の咳喘息を疑い、気道可逆性試験(肺機能を実施して喘息薬を吸入後に肺機能が改善することを確認する検査)が必要です。この検査をしないで安易に咳喘息の吸入薬が処方されている患者さんが多くいます。吸入薬は咳喘息に劇的に効いて数日以内に咳はほぼ消えます。1-2週間吸入しても効果がはっきりしないなら咳喘息ではありません。
5-6は他の医院から処方された西洋医薬が有効な場合が多いので当院へ来院する患者さんは多くありません。8は胸部CTで比較的希な病気でCTによって診断します。当院では年間数例ほどです。
長引く咳で多いのは1-3です。これらには西洋医学の咳止めはほとんど効きません。よく効くと言われるコデイン類でも有効率はせいぜい1割です。
1-3の原因は咳が悪化する前の発熱による体力低下、脱水、仕事に行けないストレスなどによって乾いた咳、痰が多い咳、発作的な咳が渾然一体となっています。それに対する漢方薬の有効率は約9割です。とくに会話もできないほどの咳発作が数分間続いては止まり、しばらくして再び猛烈な咳発作を繰り返し、会話だけでなく寝ることもできない。そんな発作的な激しい咳には漢方薬の煎じ薬(いろいろな生薬を組み合わせて40分ほど煎じる)はきわめて有効です。
長引く咳の漢方治療について
長引く咳には①発作的な咳、②だらだらと一日中続く咳、③①と②の組み合わせの3種類あります。
①発作的な咳は数秒~5分ほど激しい咳が続き、その間会話もできません。その後15分~数時間の静かな時間帯があって再び発作的な咳が出ます。発作のきっかけは会話、寝たとき、寒暖差、食事などさまざまです。夜中に何度も起きて寝られなくなります。
②はだらだらと一日中続く咳です。痰は出ないことがほとんどですが、まれに一日コップ1/2杯以上出ることもあります。
漢方エキス剤(粉薬)の有効率は①には無効ですが、②には50%程度です。①の煎じ薬治療には桂皮、石膏、人参などの気の流れを調整する生薬を使います。効くまでに3~4日、有効率は90%を超えます。エキス剤が無効な②の煎じ薬治療には地黄、麦門冬、知母、北沙参などの肺を潤す生薬を使います。これも有効率は90%ほどです。
長引く咳でお困りの方はご相談下さい。