灰本クリニック

煙草を吸っている人に薬を出しても意味がない

投稿日時:2022年12月12日

 息切れが主な症状の肺気腫(慢性閉塞性肺疾患)は喫煙が原因で吸入薬による治療を行います。ところが、禁煙できずに吸入薬を使っている患者も多く、果たしてそれでも吸入薬に効果があるのかは長年の疑問でした。
今回の研究では、専用の質問票を使い症状からみると肺気腫に該当しますが、肺機能検査で肺機能(1秒率)が正常範囲の患者、つまり比較的軽症の471例が研究対象になっています。この471例をくじ引きで長時間作用型β刺激薬(気管支を拡げる)+長時間作用型抗コリン薬(気道が狭くなるのを防ぐ)が配合される吸入薬を吸う治療群227例と、プラセボ(偽薬)によるプラセボ群244例に分けて治療を行い、12週間後に呼吸器症状の改善の程度を調べました。
 その結果、質問票による4点以上の症状改善は治療群227例中128例(56.4%)とプラセボ群244例中144例(59.0%)で、二つの群に差はありませんでした。この結果は息切れなどの症状はあっても肺機能が低下していない比較的軽症の肺気腫の患者では禁煙しないまま吸入薬を使っても意味がないことを示しています。
 肺気腫の患者さんは吸入薬の治療を受ける前に、まず禁煙をすることが大切です。

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出典:Bronchodilators in Tobacco-Exposed Persons with Symptoms and Preserved Lung Function.(肺機能が保持されている有症状の喫煙経験者に対する気管支拡張薬) MeiLan K Han, et al. NEJM. 2022 Sep 29;387(13):1173-1184.
薬剤師 松岡武徳
 


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