灰本クリニック

新型コロナワクチンの正しい情報(第3回:ワクチンのデルタ株への効果について)

投稿日時:2021年12月09日

 「第1回」では新型コロナウイルスのワクチンは数万人規模の臨床試験でファイザー製、モデルナ製ともに3ヶ月は高い感染予防効果(93-95%)が続くことをお話しました。「第2回」ではイスラエルの実社会700万人の解析でもファイザー製ワクチン2回接種後は97%の感染予防効果があることを説明しました。ただし、これらの結果はデルタ株が流行する前のものでした。「第3回」ではデルタ株流行後の現状をお伝えします。

 デルタ株は2021年4月頃からインドで流行が始まり世界中に拡散し、7月のアメリカでは9割を占めるほどに増えました。今回は2021年10月に発表されたアメリカ340万人の一般患者のカルテを使用してデルタ株を解析した研究を紹介します。

 ファイザー製ワクチン2回接種後の最初の月のデルタ株への有効率は93%と高いものの、4ヶ月後には53%に低下していました(図1参照)。一方、全年齢層でワクチン接種後6ヶ月の時点での入院を減らす効果は93%と高い状態を維持していました(図2参照)。これはワクチンを打っていない人がデルタ株に感染して100人入院したとすると、ワクチンを打った人は7人で済むという意味です。入院する確率を1/10以下に減らすことができれば医療崩壊を防げます。ほとんど対抗手段がなかった昨年と比べるとかなりの進歩と言えます。

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<図1 ファイザー製ワクチン後のデルタ株への有効率(緑線)>
(Lancet. 2021 Oct 4;S0140-6736(21)02183-8より)

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<図2 ファイザー製ワクチンの新型コロナによる入院を防ぐ確率>
(Lancet. 2021 Oct 4;S0140-6736(21)02183-8より)

 2021年12月現在,国内の感染は沈静化していますが,欧州や米国では感染者が増加しています。オミクロン株という新しい変異株も確認されています。ワクチンを2回打った人を増やすと同時に、今後は3回目のワクチン接種が重要になるでしょう。(文責:灰本耕基)


出典:Effectiveness of mRNA BNT162b2 COVID-19 vaccine up to 6 months in a large integrated health system in the USA: a retrospective cohort study
(米国の大規模な統合医療システムにおける6か月までのmRNABNT162b2 COVID-19ワクチンの有効性:後ろ向きコホート研究)
Sara Y Tartof ,et al.
Lancet. 2021 Oct 4;S0140-6736(21)02183-8. doi: 10.1016/S0140-6736(21)02183-8.


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