患者背景:60代 男性
発見の経緯:肺気腫の観察中に胸部CTで偶然に見つかりました。
胸部CTの所見と病変の特徴:下図1は9ヶ月間の病変の変化です。2018年4月のCT(図1左)では右肺下葉の中枢側(背骨に近い場所)胸膜近傍に長径7mmの扁平な病変が写っており、一見すると炎症でよく見る所見なので経過観察としました。2018年12月のCT(図1中央)では、その病変は濃くいびつな形に変化し長径14mmまで増大。1ヶ月後の2019年1月のCT(図1右)では17mmまで更に増大しました。9ヶ月の変化としてはかなり速いため炎症性病変あるいは癌どちらも考えられましたが、もし癌なら転移の危険性もあるため呼吸器外科へ紹介しました。
経過:A病院呼吸器外科でPET-CTを行うと、病変部分に高集積(強く光っている)があり経過から肺癌を強く疑い外科手術となりました。
確定診断:ステージⅠBの肺腺癌
解説:小さく濃い不整形結節は常に炎症と癌の鑑別が問題になります。周囲の血管や胸膜を引き込みながら短期間に増大すると癌を否定できなくなります。この症例の様に小さくても増大が速くCTで濃く写る癌は、転移の危険もあるため速やかな外科手術が必要になります。